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BASSER LIVE II (05)

BASSER LIVE II (05)

「BASSER LIVE」(99) を発表した後の青木さんは多忙を極めた。
シカゴ・フリージャズの大御所、AACM*創立メンバーのひとりでもあるFred Andersonがオーナーの店、 Velvet Loungeに頻繁に出演しFredらと競演する一方で、 青木自身のプロジェクトである「MIYUMI PROJECT」も発展し、 "The Miyumi Project Big Band"としてシカゴ近代美術館(MCA)ホールでの演奏に至った。

こうした活動が広く認められ、2001年末には地元の新聞シカゴ・トリビューン紙で 一年間で最も活躍した"CHICAGOANS OF THE YEAR"の一人にも選ばれるという快挙に。 そして Famoudou Don MoyeWu Manらとのデュエット作を発表した後で、 2004年5月1日に再び青木さんはMACホールでのソロ・ベース・ライブを行う。


青木:  これは僕の最近のベース音楽ですね。 司太鼓の英律君と知り合って、MIYUMI PROJECT も稼働して、 JASC(シカゴ定住者会)に司太鼓を移動して正式に道場をはじめて、 いちおう 将来性のある太鼓文化を構築してからのベース/太鼓の再会です。

山本:  「BASSER LIVE」(99)に続き MCAでのソロライブの録音ですが、異なる点は?

青木:  前回のコンサートと比べるとライブ演出が難しかったです。
ひとつは、以前のコンセプトはあくまでベースを主体としたものに 太鼓で味付け をした表現でしたが、 「BASSER LIVE II」では発展途上の若き太鼓奏者である吉橋 英律、 本間永実とライアン・トグリをフィーチャーして表現を試みました。 そのため、太鼓に関する約束事をずいぶんと増やしてやってみたので、 ライブ的には難しいプロジェクトでした。 「見せるベース音楽」をやってみたかったのです。

アジア系音楽で著名のデボラ・ウォング教授が「BASSER LIVE II」の論文を発表します。 ネットにあがってきたらそれも面白い資料です。 決めごとを使って即興をするのは、僕のルーツのお座敷三味線の演奏方法によく似ているので、 ベース表現も一作目とは違ったかたちで現れています。 太鼓を意識しての音楽ですね。 これ はなかなか面白かったです。 アルバム発表後に既に3回のライブをやってます が、いい感じです。


山本:  "CHICAGOANS OF THE YEAR"として新聞に大きく取り上げられたり、 青木さんの立場も2000年以降かなり変わってきました。 青木さん自身に心境の変化とかありましたか? あるいは自分の音楽に対する見方とか変わりましたか?

青木:  「BASSER LIVE II」は結構自分的には「復帰作」って感じがするんですよ。 それで一番最近の「FIRST LOOK」(05)とか「GRAPHIC EVIDENCE」(05)でようやく 50代に向けての方向性が見出せたような感じです。

「BASSER LIVE」 の後にはいわゆるベルベット時代が来るんです。 そこから「ROOTED」(01)ぐらいまではマラ カイやモエとなどの 濃厚なデュエットをやって、そこの期間は気に入ってますが、 他のプロジェクトはなんとなしに方向が定まらずに迷ってた感じですね。 プレッシャーが辛かったです。それで WU MAN に救われた感じです。**


山本: 「BASSER LIVE II」の発表も経た現在、 今後「青木さんのソロベース」は新たな展開を見せるでしょうか? あるいは「青木さんのソロベース」の形態/スタイルは 一応の完成をみた or 完成に近づいたのでしょうか?

青木:  完成はわかりません。ただ、思っていたベース音楽に近づいたとは思いますね。 一作目に強く出されていたズ〜〜ジャの感覚がずいぶんと抜けているので、それは理想に近い形です。 それが最近の「FIRST LOOK」や「GRAPHIC EVIDENCE」にはっきりと出てるので、 そこは「修正」された部分ですね。 もともとアングラ音楽サーキットの頃はあんまりジャズ的じゃなかったところも沢山あったしね。 TRI-COLOR のベースラインとかは気に入ってます。***



[注]

*  Association for Advancement of Creative Musicians
** 2003年にWU MANとの競演作「POSTURE OF REALITY」が発表されている。
*** TRI-COLOR:青木さんと長い付き合いのDavid Pavkovic、 バンド Tortoise (トータス)のメンバーとしても知られる Jeff Parker とのトリオ。アルバム2枚が発表されている。



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